神の棄てた裸体

無題

高成長と豊かな暮らしとは無縁の世界を垣間見る一冊。著者が東南アジア、インド、パキスタンなどのイスラム社会を旅してその底辺で生きている女性の姿を描いている。

そこには貧富の差、格差社会、と単純に言えないようなまさに天国と地獄との差のような世界が広がっている。

これまでの自分の人生の中ではイスラム社会とはあまり直接的な関係がすくない。仏教は生まれた時から関係がある。キリスト教は西洋社会からいろいろな情報が入ってくる。しかしイスラム教についてはイスラム過激派のこととかラマダンの話を聞くくらいで日常的には触れることがなし。

そんなことでイスラム教、イスラム文化には興味を持ってきた。シンガポールに出張したときにはイスラム人街を見て回って初めて直接その文化に触れた。

と、そんな時に本屋で目に入った副題の「イスラームの夜を歩く」に魅かれて読んでみた。

基本はイスラム社会で売春婦として働く女性、しかも10代の女性の姿をルポしている。高度の思想はなく週刊誌の連載記事のような感じだ。

10代の女性がなぜ売春婦として働くような状況になっているのか。そのような女性が売春宿で家を離れて生きている。だれもが故郷で家族と一緒に生活をのぞんでいるがそれができない。一緒に生活できない状況に追い込まれた女性がこうしたところに集まってきている。

故郷で貧困の為にやむをえず出稼ぎに出た。故郷で男と密通したために戒律の厳しいイスラム社会では家からでるしかない。ゲリラ兵士に連れ去られて売り飛ばされた。さまざまな理由で都会の売春宿で生きていかざるをえない10代の女性。

野次馬根性で読み進めたがメディアにはあまり取り上げられない社会をクローズアップしている。人間の能力はすばらしいと能天気に賞賛することがはばかれるような現実だ。

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