SPAトレイルレースに参加
群馬県の野反湖から草津温泉までの３８Kmを走るトレイルレース。同時に四万温泉から草津温泉までの７２Kmと５６Kmのレースも行われた。結果として制限時間の８時間を１時間残して怪我なく完走。辛くも楽しい７時間だった。
草津スキー場からバスで出発点の野反湖まで移動。午後は雨の予報だがまだ時々薄日がさしている。野反湖の周囲は新緑で美しい。特段の緊張もなく１時間以上待っていよいよ出発。大会プロデューサーの鏑木氏はさすがに参加者を盛り上げてくれる。
スタート前のセレモニーの際には３名の招待選手が遅刻して到着していなかった。なんとも緊張感のない方々だ。
定刻の１０時にスタート。しばらくは野反湖の周囲にある散策路を進む。スタート直後はまだ体がなれておらずすぐに息が切れた。集団はもくもくと走っておりだれも歩いたりしていない。いきなりこの辛さで先が思いやられたが写真を撮るために一瞬だけ立ち止まった。それから落ち着いた。
野反湖は美しい。清楚な木々に囲まれて落ち着いたいい家柄のお嬢さんのようだ。
湖畔を４Kmほどほぼ平坦な道を進んだあとでコース中の最高地点である弁天山。この下りがロープ場で渋滞。ここを通過した後はなんとも長い７Kmの下り。走りやすい斜度の下り、柔らかい土、豊かな新緑、とトレイルランには最高の条件だ。
最初のエイドは六合村の集落。大勢の村人がサポートしてくれている。
ここからもさらに下る、下る。どこまでも下った。曇り空で気温もあまり高くない。２０度以下でしょう。なんとも楽しいトレイルランだ。
六合村の集落を通過。
２２ｋｍほどのところに名にし負う世立八滝と言う景勝地がある。ここがこのコースの最大の難関。垂直にのびていると思えるような急な階段が迎えてくれる。
一気に１００ｍ位上昇してそから一気に下ったり登り返したり。途中に滝を見ることができるが疲労で楽しめる状況ではなくなった。多くのランナーがここでリタイヤするそうだ。
工事現場のような階段も多い。
疲労が蓄積してきたが時折見かける集落や周囲の美しい新緑に癒やされる。
ふるさと活性化センターに設けられたエイドステーション。この辺になると固形物があまり喉を通らなくなってきた。７２ｋｍコースのランナーも混ざって皆さん元気だ。地元から参加しているランナーもいるようでエイドのスタッフと楽しそうに会話していた。
各エイドでは地元の女子生徒や婦人会のかたがたそして消防団などの大勢がサポートしてくれている。のどかな山村の一大イベントなのかもしれない。会話の中から豊かで気持ちのゆとりをもった生活をしているように見受けられる。こちらは写真を撮るゆとりもなくただただ前に進んだ。
２０ｋｍを過ぎて疲労も蓄積されて少しの上りでは歩いた。下りになってようやく走り始める。周囲も同じだ。腕を振ってその力を使って前に進む。長距離のトレイルレースではこうして歩く機会が多い。あるきながら周囲のランナーと会話もできる。一期一会だ。
小さな上り下りが延々とつづき草津に近づくころ残り５ｋｍくらいのところから雨が降り始めた。厚い雨雲で暗くなり濃い樹林な中は薄暗い。山道もぬかるんで滑りやすい。所々にある急坂にはロープが張ってあり摑まりながら下るがそれでも滑って転ぶランナーが多い。私は無事だった。
ゴールまで２ｋｍ位では雨足も強くなり体が濡れている。ゴール直前に最後の小さな登り。最後まで楽なコースではない。そして午後５時前にゴール。７時間におよぶ大自然の中のランニングが終わった。完走できたことに安堵。同時に満足感で満たされた。このゴールの瞬間のために走っているのかもしれない。辛くも楽しい一日だった。
雨の中で体が冷えないようにして駐車場にもどってこの日の宿に向かう。この日は路地裏にある昭和の雰囲気が残る木造木賃宿に宿泊。ここは老婦人が一人で営んでいるようだ。かつては食事を出したのかもしれない厨房もあるが今は素泊まりのみ。玄関にはすでに泥のついたランニングシューズが数足あった。
風呂に入るとランナーらしい数人の先客がいたのでしばしレースの感想をあれこれと話した。ところがその途中で吐き気を感じたので飛び出して洗面所で吐いた。何もでてこない。後半はジェル系の補給食だけだったので固形物は残っていないようだ。レース後の嘔吐はこれで３回目だ。それでもすぐに気分は良くなった。
その夜はお茶だけを飲んで過ごした。疲労感はない。胃の働きが回復するのを待つだけ。