「人工知能の未来」ーディープラーニングの先にあるもの
各社の展示会にはいろいろと出かけている。新聞やメールでくる案内を見ると時々興味がある講演を発見する。昨日は大塚商会のソリューションフェアに出かけてみた。このフェアは毎年のように参加している。IT業界の動向、技術レベルを知るのにいい機会だ。ことしも出かけてみた。寒い日だった。
その中の講演。東京大学特任准教授である松尾豊氏の「人工知能の未来」ーディープラーニングの先にあるもの。デープラーニングについての知識はごく僅かだったがこの講演を聞いてなるほど、と思う所が多かった。
***********
まずは、人工知能についてのこれまでの歴史。第一次ブームは1956-1960年ころ。第二次ブームは1980年代。この頃は私もアメリカから帰国して就職した会社で働き始めた頃で興味を持っていろいろと本を読んでLISPとかProlog言語を調べたものだ。こうした言語を使ったエキスパートシステムが話題になっていた。こうした言語を使って人間の知識を手作業で登録していた。そして2013年ころから始まった第三次ブーム。自動車の自動運転とか自動翻訳、囲碁の対局など。
これらはこれまでの技術の延長だがディープラーニングは新しい技術である。
機械が状況、物を認識して特徴を明らかにする、そして繰り返し「学習」することで習熟する。そしてその習熟結果で新たな状況、物を作りだしたり判断したりする。この運動することおよびこうした一連の作業をディープラーニングと言う。つまり現実の世界をパターン認識して繰り返し学習によってそれを記号化することで状況を判断できるようになることのようだ。何となく理解できた。
例えば、囲碁のソフトはいろいろな対局パターンを作り出して人工知能同士で何回も何回も対局して勝ちパターンを学習する。
この時の要素技術として重要なのがこの「認識」するための技術。現状を認識するための「目」や「耳」の技術だ。この現実を見たり聞いたりして認識する能力はすでに人間の能力を越えている。つまり、人間よりも正確に見たり聞いたりできるようになっている。
かつてカンブリア紀に生物が急激に多様化した時代があった。これを「カンブリア爆発」と呼ぶがその爆発の理由として、生物が「目」を持つようになったという説が有力だ。今、機械(人口知能)がこの「目」の能力を持つようになってこれから想像もつかないような製品、技術が現れる可能性がある。
機械が「目」を持つことでこれまで機械にはできなかったことができるようになる。ロボットはこれまで教えられたことしかできなかったがそれは「目」が無かったから。「目」を持つことで現実を把握し判断し処理できるようになる訳だ。
技術的に比較的容易な作業はトマトの収穫や溶接作業になるだろう。収穫できるトマトを判別できるようになればそれを収穫できる。溶接すべき場所が明確になれば溶接もできる。今後はこうして「目」を使うような作業全てが機械化の対象になる。
こうしたことを普及させるためには「学習工場」が必要になるだろうと言われている。つまり、人工知能が認識して習熟する過程が大事になる。この習熟する行程をまとめて「工場」化することで効率的にロボットを世の中に提供できる。
********
と言うような講演内容だった。納得できて満足できた時間だった。