利尻岳登山
朝、起きてすぐにカーテンを開けると空は青かった。天気予報の通りだ。お湯を沸かし軽く食事をして約束の5時に登山口まで送ってもらった。この日は開山祭で地元の登山グループの方々が登山口のキャンプ場に集っていた。
登山口で一緒になった同年輩の男性2人づれと一緒に歩き始めた。しばらく進んだところで白人の単独行と2人づれが我々を追い抜いていった。歩くペースが違うので同年輩の方々と離れて先に進むと先を行く2人づれが休んでいた。天売島でこの時期だけカモメの研究をしているという北大の学生とスペインからの留学生だ。しばらく進むと前にいた単独行の白人に追いついた。しばらく立ち話をしてそのまま話しながら一緒に登り始めた。
登り続けると雪が出てきた。彼はすこし躊躇した。旅先なので服装、装備も最低限のものだけで慎重になっていたようだ。私は、Safety First、と言いながら少しだけ彼の背中を押した。そのまま登り始めた。それまでの会話を通して私を信頼してくれて登り続けたと後に語ってくれた。その後、彼とはこの後下山まで一緒に行動した。息が合った登山と会話だった。
彼は18年前まで数年間日本に住んでいて日本人女性と結婚して本国英国に戻っていたようだ。機械工学の博士。日本の大学でも教えたことがあるとか。日本語も上手。若いころは山にも登っていて南アルプスや羅臼岳にも登ったとのこと。今回は仕事で札幌で行われた会議に出席するために来日。そのついでにここ利尻島、そして東京、金沢そして妻の実家がある神戸に行くらしい。家族のこと、仕事のこと、山の映画のこと、、、、ずっと楽しくおしゃべりしながらの道中だった。
天気は晴れ。東の方は広く雲海で下は見えないが西側は沓形地区や日本海が望める。山の斜面にはまだ雪が残っているが登山道はほとんど夏道を露出している。特に危険な所はない。
登る途中でもう一人の単独行の男性と会った。彼は自信なさげにこの登山を語っていた。私と英国人が下山してくるとその彼とまた会った。彼は雪の斜面を前に思案していた。こうした山は経験ないと言っているので一緒に下山するように促した。彼も同意して一緒に下山した。
下山途中では開山祭をしたと思える地元のグループの賑やかな話し声が下の方から聞こえてきた。10人位のグループが休んでいた。どうやら途中まで登って雪道を整備してきたらしい。登頂しないでそのまま下る途中だった。少しだけ挨拶、会話をした。この中には利尻島の病院で働く看護師の女性が何人かいた。皆、仙台とか東京から来ているようだ。北海道は移住者が多い。人口5000人のこの島。どんな生活をしているのでしょう。思い描いていたような生活をしているのだろうか。この看護師によるといろいろとやり難い点もある、と言っていた。どの程度でしょう。立話しではそこまではわからなかった。
下山してからその英国人と別れて予約している旅館の方に迎えに来てもらった。鴛泊の港を見渡す民宿だ。同じように利尻岳に登った同年輩の2人づれもいて夕食時には登山の話に湧いた。
今日の記録
朝、昼は行動食、おにぎり、パン、スニッカーズ、等
夜は宿の夕食。毛ガニ付き。