ハセツネ運営スタッフ

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暗い顔をしたランナーが暗闇の中からつぎつぎと現れてテントの中に吸い込まれる。鞘口峠でリタイヤを決めた選手はそこから歩いて15分ほどのところにあるリタイヤ選手収容用のテントに集められる。霧雨が降る冷えきった暗い山道を38Kmも走ってきたランナーはいろいろな思いを抱えてリタイヤを決断する。その決断を見てきた。

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年に一度の「大人の大運動会」と言われる山岳耐久レース(ハセツネ)のスタッフとして週末を過ごしてきた。二年前に参加したこの山道を71.5Km走るレース。支援する側のスタッフは選手と同じような寒さの中でのサポートでした。

前日の夜に会場に入って翌日の作業を確認してから会議室の床の上に寝た。翌日早朝からそれぞれの担当箇所に移動して選手をサポートする準備。私は鞘口峠でリタイヤを決断した選手を都民の森に設置したテントまで誘導し介助する班にアサインされた。

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担当の場所は都民の森。テントを張り、暖房のためのストーブを設置、などは経験者の指示でスムースに進んだ。
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午後1時にレースがスタート。ほぼ中間地点である鞘口峠にはトップ選手は5時頃には通過する。我々は交代で鞘口峠まで登って通過する選手を応援しリタイヤする選手が現れたら一緒にテントまで下った。4回、5回と峠まで登っては下った。時間がたつに連れて少しづつリタイヤする選手が現れる。前半にリタイヤする選手はスピードをだして転倒して足をひねったりの選手が多い。そして体の調子がいつもと違うということでサバサバと早めにリタイヤを決断する。後半になると精根尽きたような顔をして脚を引きずる選手が増える。ここまで来る間に何回も嘔吐したり脚の痛みを感じたり脱力感を感じたり、そして低体温症の兆候がある選手もいる。担当の医療班が応急手当をする。

疲れ果ててまだまだ続く暗闇の山道に向かって意を決してゆっくりと進む選手。力強く走り抜ける選手。どこにそんなパワーがあるのかと不思議に思えるようなきゃしゃな体の若い女性も笑顔で走り去る。

私はこれまでに参加したいくつものレースでリタイヤしたことはない。その決断はそれぞれの選手にとって重いことは想像できる。それはそのレースに参加するまでの努力が並々ならないハズだから。その重い決断をする瞬間を何回もみることができた。疲れはてて鞘口峠までたどり着いて崩れるように座ったまま動かなかった選手が気を取り直したように歩き始める。峠に到着した直後にサバサバとリタイヤを宣言する選手。

そんなリタイヤ選手が夜になると増えてきた。選手の名前、ナンバー、を記録して暖がとられたテントの中で暖かい飲み物を飲んでもらった。ある程度の選手が集まった時点で本部まで搬送する担当に引き渡す。翌朝の5時ころには関門を制限時間内に通過できなかった多くの選手が来た。これ以降は新たなリタイヤ選手は登場しないのでテント等を撤収して本部のある五日市まで帰還。着くとまだまだ選手がゴールをしていた。二年前を思い出した。ほぼ同じ時間、同じような青空の元でゴールした。ここまで走り続けた選手にエールを送りたい。

ちなみにこのスタッフをすると翌年のレースには優先的に参加できる。でも来年の参加はないでしょう。別のレースにします。

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