シャモニーで行われたOCCレース参加

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フランス、イタリア、スイスをまたがるヨーロッパ最高峰のモンブラン。この周りをぐるっと廻るトレイルレース、UTMB。これは総距離160Km。このコースの最後の3分の1を走るレースがOCC。コース途中のオルシエーユ村(O)を出発してシャンペックス村(C)を経由してシャモニー(C)に戻る53Kmのコース。このOCCに参加した。

結果は制限時間14時間のところ12時間で夜の8:30頃にゴール。素晴らし景色の中を苦しみながらも貴重な経験をしてきた。

ホテルからスタートのオルシエーユに

朝4時ころに起床、軽く食事をしてからホテル近くのバス乗り場から5時に出発。空気はひんやりして気持ちがいい。参加者1200人のほとんどがここからバスで60Km先のオルシエーユを目指す。薄暗い中6時過ぎに到着。オルシエーユは山の中の盆地にある小さな村。到着の直前に峠からはるか下に街の明かりが見えたときにはいよいよか、と緊張した。

バスから降りて多くの参加者はそれぞれの方向に散らばる。私は時間まで近くのベンチに座って待った。隣に座った方に話しかけたが英語が通じず。
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8:15の出発時間に近くなったので他の方が移動する方向についていくと事前にYouTubeのビデオで何回も見た街の広場に着いた。ここだ。今その現場にいるんだ。大音量の音楽とアナウンスで盛り上げる。上空にはドローンが飛んでいる。小さな広場は混雑し緊張気味のランナーがほぼ無言で時間が来るのを待っている。

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そして定刻の8:15にいよいよスタート。ハセツネを二年前に走った時はスタートからしばらくは感激して涙がでそうだった。今回はうれしくて思わず微笑んでいる自分を感じた。

狭い石畳の道の両側には村人がたくさん応援に出ている。カウベルを打ち鳴らす。3m位あるアルペンホルンを鳴らしている人も。嬉しい。

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20分ほど走るとすぐにひろびろとしたスイスの村の姿が現れた。これだ。こんなところを走りたかったのだ。

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Champex

1時間半で最初のエイドステーションであるChampexに到着。ここまでは標高差700mの急な山道を登ってきた。日本にもよくあるような土の坂道。この最初の登りは日本のレースと同じように渋滞。しばしば立ち止まった。無理に追い越すランナーもいる。気温はどんどん上がって汗がでるのでエイドでは水分補給。
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この辺ではまだ強い疲労は感じない。快調に村を走り抜けた。あこがれたスイスの村を突き抜ける。そしてまた山道を行く。
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この辺から牧場になりカウベルの音が遠くからも聞こえてくる。何ともスイス。スイスの村には必ず水場がありおいしい水が流れ出ている。
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Trient

23km地点にあるTrientのエイドについたのはスタートから4時間半。エイドは常に山を下った里にある村に設置されている。この村を抜けるとまた上りになる。相変わらずのどかなスイスの村を通過。
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Catogne

高度を上げるにつれて視界がさらに広がり遠くに高山が見えてくる。ダイナミックな光景だ。29Km地点にあるCatogneのエイドは大草原の中。水分補給だけだ。
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ここからしばらくは楽しい下りだが疲れからスピードがでなくなった。
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Vallorcine

下ったところは34Km地点にあるVallorcineのエイド。ここは比較的大きな街で鉄道も通っている。疲労困憊して固形物がなかなか喉を通らない。しばらく横になって30分ほど休憩した。。

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重い足を引きずって歩みを進めるが周囲も走る人は少なく皆歩いている。
ここからが辛かった。11Km先の最後のエイドまでは600mの登り。誰もが押し黙ってひたすら登っている。登りに耐えられなくなると時々立ち止まって一休み。何回も立ち止まってストックに体をあずけて立ったまま体を休めた。前を行く人の歩みが遅いとその後に数人が連なる。我慢しきれないランナーが追い越すとそれに釣られて数人が追い越す。こんなことを繰り返しながらゆっくりと登る。一旦下りになったのでこれで最後かとおもったらまた登りが始まった。こういうのは精神的にダメージが大きい。

エイドまでの最後の登りは広大なスキーのゲレンデを行く。勿論今は雪はなく石がごろごろした歩きにくい表面。見上げると前を行くランナーが遥か彼方に豆粒のように見える。ああ、あそこまで行くのか。とても走ることなどできない。ゆっくりと足元だけを見つめてじっくりと脚を運ぶだけ。

La Flegere

そしてようやくにして最後のLa Flegereのエイドに到着。45Km地点、高度1880mだ。残りは下り基調の8Kmで制限時間まで3時間あるのでずっと歩いても時間内にゴールできると確信。しかし疲れている。エイドスタッフのおばさんがにこりと笑って差し出したコンソメスープだけが喉を通った。

しかし、ここでこれ迄の苦労をねぎらうかのような光景を見られた。感激した。
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ここからは下り基調だが走りにくい。最初は急な下り坂。怖くて走れない。大小の石がごろごろしていたり大きな岩の間を下ったりの連続。周囲のランナーもこのへんに来るとまばらになり少なくなる。4kmほどの山道を下ると車が通れるほどの道になってようやく走れるようになった。観光客と思える人もちらほら。会う人はみな「ブラボー」と賞賛してくれる。日が暮れてきて薄暗くなってきた。大きな木に覆われたところは足元がおぼつかなくなる。転ばないように注意して走った。そしてようやくにして舗装路にでた。瀟洒な家が並んでいる。安堵感。道を歩く人も増えてきて同じように「ブラボー」の掛け声を受ける。自分のこの状況をなんとも誇らしくなる。

市内に入るとさらに人が増える。見覚えのある街並みだ。宿泊しているホテルの前を通って中心地に入ると道の両側にランナーが走る通路を作るための柵がしてあってその奥からは街を行く人達から「ブラボー」。スタート直後のように自然と頬が緩んで笑顔になっている。なんとも嬉しい時間だ。

Chamonix ゴール

午後8:30。12時間15分の旅Journeyが終わった。最後の数Kmはしっかりと走れた。今年の1月にこのレースにエントリーして幸いに抽選に当選して参加できることになった。それから半年余。いろいろな準備をしてそして首尾よく完走できた。完走したこと以上に、すばらしいスイスの、アルプスの環境に12時間も身を置くことができたことが嬉しい。38年前に山岳会のメンバーとモンブランに登った後でいつかはあのアルプスの麓をのんびりと歩いてみたい、と思った。のんびりと歩いたわけではないがあの環境の中にいたことがなんとも嬉しい。走る前はこんな環境にできるだけ長い間いたい、と思っていたが図らずも長時間いることができた。
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レースの後は満足感で一杯。遅くなってからビールで祝杯をあげました。

レースの様子を5分にまとめた映像はこちら

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コメント

  • 凄い感動

    凄い感動が本当によく伝わって来ます。
    素直に羨ましいと思えないのは、新井さんがそんな経験をするために日頃から積み上げたものがスゴイからでしょう。お疲れ様でした。


  • Re: 凄い感動

    >>1
    ありがとうございます。分かってもらって嬉しいです(笑)。確かにいろいろな意味での準備が十分でないとできないことですね。こうしたことができる環境であることもラッキーです。


  • 素晴らしい!!

    完走おめでとうございます。
    これまで走ってきた甲斐がありましたね。すべての場面で私も一緒に感動をいただきました。


  • Re: 素晴らしい!!

    >>3
    監督、ありがとうございます。海外の大会となるとより多くの条件が揃わないとなかなか参加できない中で参加できて幸せでした。そして、こうした素晴らしい環境を楽しむことができました。これからも走り続けますからご指導ください。



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