５月１０日 大間崎と尻屋崎
下北半島は斧のような形をしている。柄の部分は東側の細い部分。刃の部分は西側。刃の部分を上がってから柄の部分を下った。これまでと比べて、今日走ったところは人がまったく住んでいない場所がほとんどでごく一部のわずかな地域に集落といくつかの町ができている。大自然を感じた一日だった。
仏ヶ浦まで
「道の駅わきのさわ」から刃の部分（国道３３８）をひたすら北上する。朝が早かったこと:もあり行き交うくるまはなし。快適に走るがこのルートは山岳コースで新緑の山のダイナミックな風景がすばらしい。何回も車を停めて見入ってしまった。仏ヶ浦までの１時間は狭くカーブの多い山道で緊張するが素晴らしいコースだ。急な山道を登っていくと突然視界がひらけて遠くに大きな山が見えたり海が見えたり。かつて下北半島を自転車で回る計画をしていたときにここは自転車ではきついと聞いていた。確認できた。自転車はやめたほうがいいかもしれない。でもチャレンジしてもいい。
仏ヶ浦は大きな奇岩が集合しているがはるかうえのほうから眺めるだけだった。駐車場に停めて歩道を下って行くとはるか下に海が見えた。そこまでの林には「クマに注意」の看板。朝早く一人でこんな寂しい所は行きたくないので戻った。人が増えた頃に遊覧船で海側からみると見ごたえありそう。
大間崎まで
仏ヶ浦からは基本的に海岸に沿って走る。この海岸も美しい。明るい海を見ながらのドライブ。山と海の間の狭い場所に小さな漁村が次々と現れる。こぢんまりとした家々が窮屈そうに軒を並べている。ひっそりとしているが人の営みを感じる。小さな集落のこんな風景が大好きだ。能登半島でも同じ経験をした。
そして大間崎。大間の町はこのへんでは一番大きい。すなわち平らなところが大きいと言うことだ。大間の町のどん詰まりが大間崎。明るい。広い。晴れて明るい太陽のせいか広く感じる。海の上の空も大きい。そうか、ここが大間崎か。長い間望んでいた場所なので感慨しきりだ。本州の最北端。北海道が間近に見える。
晴れていた空が一転して雨が降りはじめた。すぐに晴れた。冷たい風が海から非常に強い。冬の風とは比較にならないくらいだろうが寒い。春になっても厳しい自然を感じた。
尻屋崎まで
大間からは左に海を見ながらの快適なドライブ。交通量が関東とは比較にならないほど少なく運転のストレスが少ない。真っ直ぐな道をどんどん進む。
途中、むつ科学技術館に立ち寄り。原子力船むつの原子炉の部分と甲板の一部がそのまま展示してあった。大きな施設だがこれも観覧者は数人だった。どれだけのお金を使った施設なんだろう。例によって担当の女性がつきっきりで説明してくれた。
昼食は「海峡食堂・善」で「貝味噌に定食」。ここの名産のホタテとイカに海藻がついて卵でといたもの。味は特にいいとは思わなかったが地元の料理ということなので味わった。
尻屋崎
男鹿半島の入道崎や寒風山ではその自然にまったく感動しなかったが津軽半島の龍飛崎、そして大間崎には感動した。この尻屋崎も良かった。特にここで生まれて生きている寒立馬のことを考えると身が震える思いだ。遮るものが一切ない荒涼としたい平原には冷たい風が容赦なく吹いている。冬はどんなに寒いことだろう。大間の時と同じようにそれまで晴れていた空が一転して急に雨が降りだした。厳しい大自然の力をここでも感じた。ここに居ることだけでも不安になるくらいだ。はやくこの場から逃れたい、と思えるほどだ。
ここには野生の馬、寒立馬がいる。真冬でもじっとこの強風の吹く尻屋崎で過ごすらしい。じっと動かずひたすら耐えている姿は東北人を象徴しているような感じだ。現在３０頭いるとか。歩いてみたところには糞があったが馬たちは見当たらなかった。戻る途中に一部の馬を飼育している牧場がありそこで二頭を見かけた。その内の一頭の前には横たわった仔馬がいた。母馬と思える馬はいつものようにじっと身じろぎもせずそばにいた。
道の駅よこはま
尻屋崎からは他の車を殆ど見かけない一直線の道をひたすら走って横浜町にある「道の駅よこはま」に来た。半島の内側に来ると畑も増えたり、北からの気象の影響が和らぐのか少し温かい感じがする。大きな菜の花畑が見えた。
着いて早々にここでもランニング。町内を走ってみたが漁民の街だ。比較的きれいな家も多い。ホタテ御殿かな。町立の温泉に入って汗を流した。今日もい一日だった。
