宗像市へ、岡垣町で出会い
この日はいよいよ九州に上陸すべく国道2号をひたすら西に向かった。高速道路を使わなかったが特段の渋滞もなく順調にすすんだ。
途中で自転車のチェーンオイルをあさきサイクルで購入。佐川急便に棟方営業所で送ってもらったパソコンを引き取り。
風呂がある岡垣町の健康センター、いこいの湯。風呂に入る前に町の中を歩いてみた。岡城址があったので登ってみた。小さな戦国時代の城で公園になっていた。歩き回ったが少し落ち着かなかった。最近になって各地で強盗事件が起こっており、かれらは事前に家の様子を調べているとか。見知らぬ人が住宅地を歩いているとそうした人と間違えられないか。まっすぐ前を向いて小走りで進んだ。それにしてもこの町の住宅はどこも広い敷地ときれいな庭が多い気がした。
そして風呂に入った。露天で温まっていると同年輩と思われる方と二人だけになった。しばらく沈黙が続いたが、
「明日は雨のようですね」と話しかけてから話が始まった。いろいろと話しをしていると彼から
「今夜は自宅に泊まりませんか」
ときた。少し躊躇したが地元の人のようで風呂でも知り合いが多いようだ。悪い人ではなさそうなので提案を受けた。
彼の車に付いていくと街灯もない真っ暗な山道を15分ほど進むと彼の家に到着。
そこは彼が20年かけて手作りした家で、妻と息子は自宅に住んでいて基本的にここに一人で住んでいるらしい。妻とは毎日連絡をとりあっているようだ。電話先で彼女と少しだけ会話をしたが明るい声だった。この夜は、手作りの大きなテーブルがあるテラスのようなところで飲んだ。時々は友人が遊びに来て楽しむらしい。別棟もありそこにはベットが2台ありそこに泊まれる。ここに泊まった。
彼は年齢74歳。中学を卒業してからすぐに世の中に出て必死に生きてきた。やんちゃもしていたようだ。空手も習ってバキバキの体になったが24歳のときに喧嘩をして警察沙汰になりやめたそうだ。いろいろな仕事を転々として20代で建築職人になり30代で独立。一時は50人の職人を抱える会社になったそうだ。今では数人だけを使ってゆっくりとしているとか。中卒で世の中にでてたくましく生きてきた彼の豊かな人間性を感じた。多くの人を引き付けて来たようだ。
自分の平凡なサラリーマン人生と比べて逞しく生きてきた彼の強さに敬服する。