輪島
センチメンタル・ジャーニーです。5年前に金沢から能登半島を自転車で一周した。その足跡を途中までたどる旅になりました。ただし、今回は高速道路で1時間半。黒瓦に黒の板壁。この家並みに再会できて幸せだ。能登地方のこうしたなんとも上品で剛毅な家並みで大好きだ。
かつては七尾線の終点だった能登駅が道の駅に変わっている。ここに駐車して自転車で市内観光。
輪島塗の工房をいくつか訪れた。各工房は独特の暖簾が下がっていて工房であることが分かるが千本格子で中が見えない。閉ざされた引き戸を開けるのは勇気がいったが思い切って訪ねてみた。最初は輪島塗の漆器を企画開発しているような漆器店。中島忠平氏の店だ。主人も漆職人だが木地を仕入れ、その後の何十という工程を何人かの職人に依頼して分担して作成して完成した漆器を販売している工房だ。入るとか奥様が快く受け入れてくれて座敷に上がった。そこでいろいろな漆器の工程を説明をしてくれて楽しく会話ができた。残念ながら主人の工房は別のところにあるらしい。それでも最後に主人が帰ってきて挨拶ができた。
輪島工房長屋に行き、前野勉氏と立野敏明氏の工房を訪れた。ここは実際の作業をしてる姿を見ることができた。狭いところで座って作業をする。輪島塗はその工程が数十あり膨大な手間と時間がかかるようだ。そのために漆器は丈夫で一生ものになる。ところがその良さがなかなか一般には理解されずにあまり売れないらしい。職人も生活が苦しいとこぼしていた。しかも後継者が少ないとか。二人共快くいろいろな説明をしてくれ楽しく話ができた。金沢マラソンの話も盛り上がった。
次は輪島塗の体験工房。すでに塗りが完了している箸に鉄の針のような道具で模様をいれてその溝に漆を塗り、漆を接着剤として金粉をつけるという工程だ。輪島塗のほぼ最終工程を体験した訳だ。漆が最強の接着剤となるようだ。本来はいろいろな模様を書くようだがデザインセンスがなく思いつかないので短い文章を彫ったがじょうずに彫れない。こうして彫りをいれてそこに漆を流し込みそこに金粉をまぶす方法を「沈金」と呼ぶらしい。間違えがゆるされない方法だ。筆で漆を塗ってそこに金粉を振りかけ方法を「蒔絵」と呼ぶらしい。
輪島の街を自転車でゆっくりと回ってみるたがここもこれまで金沢、高岡、八尾で見てきた昔の趣きのある建物が続いている。他よりも落ち着いている感じがして好感をもてた。自然で力が入らない家並みだ。味がある家並みで好きになった。
朝市通りを歩いてみると昼ころになってもお店が多く開いていた。呼びこみがちょっとしつこく感じる時があったがおばさんたちと楽しく会話ができた。
この日の道の駅は市街地にあるので夜は久しぶりに外で食事。観光案内所で聞いた「うめのや」。カウンター席に着くとすぐに隣には3人が着席。地元の夫婦とその甥とか。その甥は東京から金沢マラソンに参加するために能登に来たらしい。店のマスターを初めこの3人とマラソンの話、地元のいいところ、など大いに盛り上がった。
今日もいい一日でした。